南仏の日々(5)マルセーユ、カシスカランク、レスタック編
 

今回のシリーズは、マルセーユ界隈で纏めた。

エクスからは、マルセーユに片道バス代 26FF、30分程で到着するから、日本で言えば、都内から、横浜山下公園、大桟橋あたりまでをバスで移動するような感じだ。いや、高速道を運行するバスだから、モウチョット遠く小田原くらいかな。

この高速バスは、エクス住民のマルセーユへの手ごろな交通手段のようだ。

気の所為かスケッチをする時間が少なく、写真は多く撮ったものの、このページは、文字情報の比重が増えてしまった。どうぞ、許してチョーダイマセ。m(..)m

写真については今まで触れなかったが、コダックの普通のカラーフイルムを使い、タムロンの望遠カメラ付のキャノンEOS(結構な重量物)で撮影し、カラー写真をスキャナで撮り込んだものである。

  ▼6月3日(木)快晴。
今日は仲間全員でカルカッソンヌへ一泊2日のスケッチ旅行に行く訳だが、マルセーユへ一旦出て、そこから国鉄のSNCFに乗るのだ。バスでマルセーユに近くなると、正面遠方にノートルダム大聖堂の塔が聳えて見える。サン・シャルル駅舎を出た我々は、近くの小高い陸橋の上に横隊に並び、この大聖堂を描いた。ラッシュアワーの時間帯に朝っぱらから、東洋人の御一行様が横一列に並んで、一体何やってんだろうと、皆怪訝な顔して勤め人が行き過ぎる。30分程経って皆1枚仕上げたところで、階段をおり、市街をブラブラとマルセーユ旧港まで歩いた。そこから先は、各自マルセーユ12:43発の列車に乗車してカルカッソンヌへ行こうということでひとまず解散した。
小生は4人組で旧港入口南側の高台にあるサンニコラ要塞に向う。山頂は軍の情報基地になっているらしく入れなかったが、見晴らしの良いところでスケッチした。その昼過ぎにマルセーユ駅でフランス国鉄の列車に始めて乗った時の暑いこと、冷房なんて事前にはスイッチを入れないのだから、発車1時間くらいは蒸し風呂の車内を我慢し辛かった。
マルセーユ
ノートルダム大聖堂
1999.06.03
同左
葉書大水彩画
1999.06.03
マルセーユ
サンニコラ要塞
1999.06.03

  ▼6月12日(土)快晴。
チャータした大型バスに乗って14:00 出発。チャータしたバスと言っても、この観光システムは、先日のアルル、カマルグ、レボーのガイド付き観光と違って、色々なグループが呉越同舟で乗ってはいるものの、観光説明はなく、カシスで客を降ろしたら、所定の時間経過後、所定の位置で客を乗せて、またエクスへ帰るという、誠に冗長を無くした合理的なものであった。つまり、定刻に所定の位置にいなければ、恐怖の取り残しに会うという、極めてドライなものだった。料金100FFなら、このくらいの合理化を計らないと利益が、出ないのだろう。山あいの道路を通るうち、やがて紺碧の海をひかえたカシスの町が開けてきたところで、道はかなり急斜面を下降して行く。そしてカシスの町の中腹とでも言おうか、傾斜のある道のところで15:00過ぎバスは停車して、帰りはその同一場所に17:30集合との事だった。この間約2時間半あまりを御当地で自由に過ごす事になった。小生達のグループは細い街中の道をカシ港までおりた。この辺は、マルセーユの東南約20KM、エクサンプロバンスのほぼ南 約40KMに位置する。マルセーユを超小型化したような港町ながらも観光客があふれて、なかなか活況を呈している。緑の樹木、様々な形の岩からなる起伏に富んだ山々、紺碧の空と地中海、それに、色とりどりの船で、付近の風景もなかなかグーである。ミシュラングリーン・ガイドによれば、概ね次のように記載されてた。
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カシ(CASSIS)は風趣あふれ、起伏に富む谷の端にあり、西を乾いたピュジェ山塊(まばゆい白さの石灰岩で形成。カランクの山々は、ピュジェ山 565m を最高峰にマルセーユからカシへ 20KM 近くにわたって広がっている)、東を緑豊かなカナイユ岬に挟まれた入江の奥の極めて美しい景勝地である。小さいが活気に満ちた漁港で、ここの魚・甲殻類・海の幸は質の良さで知られ、カシ産白ワインとともに味わうウニは絶品。また、避暑地としても賑わっており、岩場に囲まれた、かなり急勾配の海水浴場が3ケ所ある。ミストラルの詩「カランダル」で有名になったカシは、現代絵画発祥地の一つ。ドラン、ヴラマンク、マチス、デュフイはここでその才能を磨いた。かつてカシにはいくつか大きな採石場があった。ポール・ミウ・カランクでは白くて硬い石材を切り出していたが、これはローヴ運河のトンエル、スエズ運河の岸壁、イタリアのジェノヴァの古代墓地「カンポ・サント」などの建設に用いられた。
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さて、カシスワインに引かれて残った2人以外は、50FFで、カシス・カランクの観光船に乗った。一旦、港湾の沖へ出てから、右方向つまりカランクの山々が見える西方向へ舵を切る。そしていわゆる岩場に囲まれた、かなり急勾配の海水浴場に沿う様にして、さらに西へ巡航、付近の海水浴場、停泊中のヨットの上は、まさにトップレスのオンパレード。岩に松の木(多分?)が生えたカラフルな岩礁風景は、小生の故郷・天草松島を思い出させた。途中断崖絶壁の奇岩があるようなところでは、何ケ所か停船して、観光客の目を楽しませてくれた。海から立ちあがった高い絶壁でロッククライミングをやっている人も見えた。付近の海中の色の奇麗な事。五色沼で見た時と同じような藍色がある。船中から見える風景を時間が無いので、急いでラフスケッチをした。あれで、小1時間くらいだったろうか、観光は終わった。カシの東側は、断層ッポイ赤茶けた岩が幾重にも重なるような高い雄大な山々が、海に張り出していた(記左端写真参照)。カシを中心にして東西で山の構造が異なっているのも面白い。下船してから、カシ漁港界隈でスケッチした。(下記右端の絵参照)。
カシカランクの海
1999.06.12
同左
ラフスケッチ
1999.06.12
カシカランクの町
1999.06.12
同左
葉書大水彩画
1999.06.12

  ▼6月17日(木)快晴。
マルセーユ単独日帰り気侭旅へ。SNCFサン・シャルル駅構内ベンチで、今日の計画を練る。イフ島を訪問したいが、最寄りの船の発着所がわからない。早朝のゆえか駅構内の観光案内所も閉じたままだ。
仕方が無いので、ぶらぶら駅の外へ出ると、METRO のマーク。好奇心から中へ入って行く。ちょうど朝の通勤ラッシュの真っ最中だが、カードのような切符を買っている人のやり方を暫く眺めていてから、9FF solo 切符を買った。これは地下鉄の案内所で聞いたら、1時間以内乗降自由の METROとバス の共通券であった。地下鉄サン・シャルル駅ホームで乗って、すぐ旧港(VIEUX PORT)で下車。地上へ上がると、そこは何んと6月3日カルカッソンヌ旅行の際、立ち寄ったマルセーユ港の魚市場のど真ん中であった。フト目の前に船の発着所を発見。掲示板にイフ島行きが載っているのを見て嬉しくなった。偶然の幸運に感謝。イフ島他の島巡りの便 Combine If+ Frioulもあったが、小生はIle d'Ifイフ島行き TARIFS ALLER-RETOUR 往復切符 50FFを買って、旧港10:00出港、イフ島に10:30頃着いた。早速、島へあがり、先ずイフ城(chateau d'If)の廻りを一周する。周囲約 300mくらいか。そんなには広くない感じだ。廻りは断崖絶壁に囲まれ、付近に巣があるのかヨチヨチ歩きのかもめの子鳥を親鳥が心配している姿が頬笑ましく、写真に取る。マルセーユのノートルダム寺院が午前中は逆光で影絵のような遠景に、イフ島の近景を入れた構図で1枚スケッチした。一仕事終わったのでイフ城の中に入る。入場料 25FF。イフ城は、アレキサンダー・デユーマー原作の岩窟王・モンテクリスト伯爵幽閉の場所で有名だが、元々は16世紀に建造されたマルセーユ港を守る前哨であったが、後年、国の牢獄となり宗教犯や、ナポレオンのクーデター反対者の収容場所になった由である。石牢の一つ一つを巡ったが、小生は狭所恐怖症だから、こりゃ、大変なところに入れられていたんだ、と古人に思いを馳せた。牢獄の小窓からはるか下方に見える地中海は一種独特の眺めであった。撮った写真は、真っ黒い壁のぎざぎざした窓の向こうにカラフルな海が見えるもので、極端なコントラストになっている。屋上と言うか城の頂上テラスは見晴らしが良く、マルセーユ港や、ノートルダム寺院の眺望は、パノラマのようで素晴らしかった。イフ島全の絵写真を買う。城の外へ出てから、イフ城の正面全景を写真にとってから、同じ角度の構図で1枚描いた。イフ島12:45発の戻り船で旧港に13:15着。マルセーユに来たので、念願のブイヤベースを食べたいと旧港付近のレストランを探して歩いている内に、Bouillabaisse の看板を出している店を見つけたので入る。ブイヤベースは、Bouill=煮る baisse=低温の意味だとか。注文して暫くすると、顔が箱型の「ホウボウ」に似たような赤い魚と黒い魚がメインのブイヤベースが出てきて、店長がスープとは別の皿に盛った魚をスプーンとフォークで器用に身と骨に取り分けて、身をスープの中に入れてくれたところまではいいが、いざ、その身を食べるとYの字の小骨だらけなのには参った。魚について詳しい人なら分かると思うが、ボラとか、ニシンの例の小骨と似ているのである。折角のプロバンス名産のロゼのハーフボトルを空けながら、味がどうかより、口のなかの小骨取りに神経を集中させられて、「ホウボウ」の体(てい)だった。食事中に南アフリカの人間とおぼしき風体の男が入ってきて、不気味な土産を売り込みに来たので、ノンと言って、毅然とした態度で追い払った。バゲットパンのスライス・トーストに赤い色したマヨネーズのようなものをつけて、ジャガイモやムール貝などの魚介類の具の入ったスープの中に浸して食べる。もともとその赤いマヨネーズをつけたスライス・トーストがスープの具の下に潜っていた。スープがなくなると、また、足してくれる。シーフードのダシの味は良く知っている小生だが、ブイヤベースの一種独特のスープの味は、今まで経験したことのない異様な味だった。デザートには、レモンの sorbet(ソルベ、シャーベットの事)を注文したが、これが今までに味わったことのない美味さであった。ちょっと、デコポンのヘソみたいな形で、全体がカチンカチンに凍っている。溶けるまで何時間待たせるのか、とウエイトレスのマドモアゼルにクレームしたら、スプーンで首の所をカンカンと叩いたら、ポコッと取れた。ナ〜ンダ、そんな仕掛けかと、メルシと言ったら笑っていた。メーンデイッシュにデザートの口直しとは、まさに、この時のためにあるものだと妙に感心した次第。魚が選べて、小骨なかりせば、ブイヤベースの印象が変わったかも知れない。因みに、ブイヤベース 99FF、ロゼ 43FF、デザート 28FFの勘定であった。例えホウボウが、カサゴだったにせよ、あれじゃ二度と食う気がしない。せめてミシュラン・グリーンガイドのブイヤベース料理の写真にあるスズキか鯛なら良かったのにと思う。只、あのレストランのブイヤベースメニューは2種類あり、99FF のその 上の 190FF のランクなら、あるいはイセエビが入っていたかも知れない。でも、昼間からそんな高級料理は食えない相談だ。午後はマルセ−ユ港湾の西側を散策したが、旧港に停泊中の帆船(近)と、山の上のノートルダム寺院(遠)が見えるところで1枚スケッチした。旧港から地下鉄 9FFでサン・シャルル駅まで引き揚げ、当初予定通りのバスで、エクスへ戻った。Marseille GARE ROUTIEREの NO.16 乗り場で、運転手に「 AIX アックス行きか」と確認したら「エクス」と怒鳴り返された。
イフ島
1999.06.17
同左
葉書大水彩画
1999.06.17
イフ城
1999.06.17
同左
葉書大水彩画
1999.06.17
マルセーユの帆船
ノートルダム大聖堂
1999.06.17
同左
葉書大水彩画
1999.06.17

  ▼6月18日(金)快晴。
エクス・マルセーユ間のバスには慣れてしまった。9:00 過ぎにマルセーユに着いて暫くは、SCNFサン・シャルル駅構内で、今日の目的地レスタックにどうやって行けばいいのか、構内の掲示物を克明にさがしたが、その結果、旧港付近からのバスで行けば良い様だとの見当を得た。小生、金欠のためどうしてもすぐTCを両替したいといい、途中旧港までの道をご夫妻には同道してもらう事になった。しかし、ホテルではやってくれないし、途中で入った銀行も駄目。何軒か尋ねてエクスと同じCL(クレデイット・リヨネーズ)銀行でやっと変えてもらった。ところが、旧港近くの CANEBIERE カヌビエール大通りまで来たら、大小両替所がいっぱいあるのには驚いた。つまり、ちゃんとした銀行から私設両替所までが軒を連ねているのだった。流石、交易の大マルセーユと言ったら言い過ぎだろうか。旧港近くのバス停留所付近で、リーダー夫妻は尋ね廻っていたが、小生が見つけたバス停の地図から公益埠頭の新港を通ってマルセーユ港をかなり北上して、港が切れたところにレスタックがある事が分かった。バスで 9FF(例のバス地下鉄共通券)20分くらいあったろうか、終点で降りて、散策を始める。付近は公園になっていて、SNCF鉄道のメガネ架橋、車道のメガネ架橋などが山の中腹を何層かに取り巻いており、上の方は岩石のむき出した山、崖の下方は岩場の廻りに砂浜を控えた海水浴場、こんなたたずまいである。上述のメガネ架橋、白い岩石、濃緑色の樹木、紺碧の空と地中海などがよく調和して、いい風情を醸し出している。ここでは、フランスに来て始めて、周期的なウナリというか、ビートというか、日本とは異なる変わった集団の蝉の鳴き声を耳にしながら、傾斜のある公園の中腹で、1枚スケッチした。昼食は、リーダー夫妻が準備して下さった、おむすびを戴いた。昼食後は、リーダーのSさんと海岸におりて、海水浴客のいるところへ行き、木陰を探して、海から山を見る視線で、また1枚描いた。何んとリーダーのSさん、短パン(得意のテニス・スタイル)姿に変身して、これから海水に足つけてくるからね、といって海の方へ行ちゃった。そういえば、誰かに言われ、短パンと海水着持ってきたけど、一度も使うチャンスはなかったなあ。りのバスを待っている間に、SNCF鉄道のメガネ架橋の間から垣間見えるマルセーユノートルダム寺院の遠景を速描スケッチした。帰りのバスはマルセーユ市街の最寄りの地下鉄駅付近でおりた。小生は昨日地下鉄を利用しているので、先輩面(ずら)して、リーダー夫妻を案内した。マルセーユ発 14:37 → エクス着 15:07 で帰着した。草臥れたのか、午睡のあと、その晩は夕食も食べずにひたすら寝た。
L'ESTAQUE
1999.06.18
同左
葉書大水彩画
1999.06.18
レスタック
1999.06.18
同左
葉書大水彩画
1999.06.18
レスタックSNCF架橋
ラフスケッチ
1999.06.18

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