タイ国・密林の発電船   21th Sept.,2000 起草
   今回の輸出案件は、当社の立場で言えば主契約先が国内の重機メーカーで、納入先がタイ国電力庁(EGAT: Electricity Generating Authority of THAILAND)、設置場所がマレーシア半島中部のタイ国領側にある密林の現地という70,000kWの発電船で、石油焚発電ボイラーから蒸気タービン、発電機、主変圧器の送電側端子までを複数の機械、電気、重機メーカーがコンソーシアムを組んで製造納入する、フルターンキー・ベース(キーを回せば即発電可能の状態にする事)の契約であった。

   小生の出張は、発電船の電気設備の仕様を決めるのが目的で、仕様とは、機器の定格、納入範囲や数量、客先へ提出する承認用図書内訳、枚数、工場出荷試験の細部、さらに発電船が現地に着いてから引き渡しまでの現地試験の内容などで、これらの一切合切を客先の購入目的に合致させるための打ち合わせだった。客先担当専門部署が多い上、納入機器メーカーも多岐にわたり、同時に打ち合わせ出来ないため、待ち時間を取られ、能率良い出張ではなかった。

   その後、機器の詳細設計に伴う承認用図面の提出・返却、機器製造、性能検証客先立合試験、メーカー間のやり取り等を経て発電機器が発電船に組み込まれ、台風シーズンを避けた時期に東シナ海を横断して現地サイトに曳航された。

   この一連の製造工程の中で機器が発電船に組み込まれる前に、当社担当の発電機は一旦タービン製造会社の岡山県玉野の工場でタービンとの結合試験をやってから、また、石油焚ボイラーは別の会社で製造されてから、船体メーカー(三重県四日市だったと思う)に集結構築され、ここで最終的に火力発電所の形態になったのである。

   一言で言えば、火力発電所一式をバージ船体に載せたのが発電船である。以前、今回よりは小規模な発電船をブラジルに納入したが、自力では動けない発電船を気の遠くなる時間をかけてタグボートで曳航して太平洋を横断し現地まで運んだ経験が今回役に立ったのはいうまでもない。やはり台風シーズンを避けた納期の設定は泣き所だった。今回のこの物件は、小生の出張から現地客先引渡しまで、記憶が定かでないが2年近い歳月を要したと思う。こうして発電船が建造されて無事ジャングルに納められ、同国の貴重な電力源になったのだから、小生の努力は報われたといえる。

   ただ、残念ながら、密林の現地に行くチャンスに恵まれなかった。トホホのホ(/_;)

   小生在職中に当社が、手がけた発電船は2例しかなく、いわば特殊な納入品だった。

▼全行程

   昭和54(1979)年7月15日 11:50羽田発 同日16:50バンコック空港着。
   7月16日〜7月20日EGAT本庁にて打合せ
   7月21,22日土日のため商社現地事務所にて打ち合わせ内容整理。
     空き時間を利用して市内見学。
   7月23,24日EGAT本庁にて打合せ。
   7月25日商社現地事務所にて打ち合わせ内容整理。
   7月26日 12:00バンコック空港発 同日 19:50羽田着

▼始めてのタイ国、EGAT本庁

   入社から21年目で、この出張は担当課長の時だった。会社の方針は、何か良く知らないが、小生始めての海外出張の時はヒラだったのに、この頃になると管理職を一人で飛ばすのが、コスト・パーフォーマンスが良かったらしい。ここから後は仕事とは無縁の余暇を利用したタイ国の写真を紹介しよう。

   小生は台湾生まれの台湾育ちで終戦後内地に引き揚げて来た人間だが、バンコックの暑かった事。日本に住んで久しくなるため、日本人並に汗の穴が減ってしまったらしい。空港から市内に向かう途中、スコールとかに見舞われたが、現地のタイ人は雨に濡れながら平気で歩いていて、道が大洪水になっていても気にしない様子に、先ず度肝を抜かれた。このスコール(日本的表現によれば局地的豪雨)は突然何回か見舞われた。

  バンコック空港間近
    1979.07.15
  朝食にて打合準備

  ホテルの窓から   同左

  EGAT本庁建物   EGATの庭

▼バンコック市内見学

   上に記載の日程で、ストレス満点の打ち合わせが行われて、毎日の決定事項、及びこちらの知りたい事をホテルからの電話で逐一日本の本社と頻繁にやり取りした事が、当時の精算メモに残っていた。日本からも回答や指示の電話がかかって来ている。やり取りの内容はもう忘れてしまったが、孤軍奮闘というのは、こういう事を言うのであろう。当時のレートは BKK to TYO  LTS ( Long Telephone Service) が1時間くらいで 40 BAHTS(1ドル360円時代で720円)だった。

   仕事合間に同行企業仲間とバンコック市内見学に行く。商社の人に予め聞いたものの案内ガイドも勿論いない状態で、めぼしいと思われるところを適当に回った。仏教国らしく大小取り混ぜて寺院だらけの感があった。名前も知らない。タイ国のどこかで宝石が採れるらしく、町中のビルの中に宝石工場があった。下は出張当時適当に撮影したスナップである。

  街中のモニュメント   街中のモニュメント

  突然のスコール   陸橋の上から   陸橋の上から
   寺院の仏   寺院と共に

  寺院と共に   寺院と共に   寺院
  寺院   博物館?
  宝石工場にて   同左


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